修学旅行の変化PARTⅡ【民泊 運営代行 北海道】
2024/11/19
【事例3】舞鶴引揚記念館 ~舞鶴で学ぶ戦争と平和~
シベリア抑留と引き揚げ
京都市のQスポット以外にも、京都府には混雑を避けながら、「学びの旅」を実現できるスポットが少なくありません。事例3では、もうひとつの京都として注目される「海の京都」エリアの中から、舞鶴市の平和学習とSDGs学習についてご紹介しましょう。
舞鶴は、日清戦争後に鎮守府が置かれ、日本海側唯一の軍港を擁する都市として発展しました。まちを歩くと、赤レンガ倉庫群をはじめ今もその面影が感じられる建物が残されています。第二次世界大戦終結後、舞鶴港はシベリアや旧満洲(中国東北部)、朝鮮などからの引揚者を迎え入れる引揚港に指定され、1945年からその役割を終える1958年までに66万人余りの人々がここに上陸しました。
引き揚げや抑留については、高校の歴史の授業でも多くは触れられません。2022年に公開された映画「ラーゲリより愛を込めて」で、シベリアに抑留された人々の過酷な労働と生活の一端は広く知られるようになりましたが、舞鶴引揚記念館には、そのことについて学び、考えるための貴重な資料が収蔵・展示されています。
ラーゲリでの想いを綴った「白樺日誌」
展示室には、抑留され、過酷な労働を強いられた軍人・軍属そして民間人の生活の一端を示す実物資料が多く展示されていますが、それらを代表するのが「白樺日誌」です。これは、抑留者が監視の目をかいくぐりながら、空き缶の切れ端を使い、煤を溶かしたインクで日々の想いを和歌にして白樺の木の皮に綴ったもので、ユネスコの「世界の記憶」に登録されています。
自由にものを手に入れることができなかったラーゲリ(収容所)で、抑留された人々は様々に工夫して日用品や将棋の駒、花札などの娯楽用品を手作りしていました。日々の辛さを束の間でも紛らわしながら、何とか生き延びようとする切実な思いが胸を打ちます。
胸打つ「白樺日誌」
抑留者のラーゲリでの生活の1コマも、実物大のマネキンで再現されています。防寒着を身に着けた男たちが輪になって座り込んでいますが、これは、一日分の食事として支給された小さな黒パンを切り分けている場面です。手製の天秤ばかりはパンを公平に分けるための大切な道具。仲間同士の争いを避ける工夫です。
「抑留生活体験室」には、ラーゲリにあった小屋が再現されています。中には狭い2段ベッドがあり、やはり防寒着を着こんだ何人ものマネキンが寝ています。ここでは、見学者がベッドに寝たり、衣類に触ったりする体験ができます。
このほか、抑留された人々への想いを綴った家族の手紙や舞鶴港で抑留地からの帰還を待つ人々の姿を捉えた写真などが展示されています。記念館のある公園の展望台から引揚桟橋(復元)を展望すると、歌謡曲「岸壁の母」で描かれた、帰らぬ息子を待ち続ける母親の気持ちがわかるような気がしてきます。
戦時の記憶を伝える「学生語り部」
記念館では、近隣の中学生・高校生が「学生語り部」として館内をガイドしてくれます(授業に支障がない日のみ)。生徒たちは、原稿を棒読みするのではなく、展示物について深く理解したうえでそれぞれが自分の言葉で語ってくれていました。
このような活動に取り組んでいる同世代の生徒たちと交流することは、修学旅行生にとって得難い経験となり、戦争と平和という大きな課題を自分事として捉えるうえでのよい契機となるはずです。
戦時を体験された方々から直接話を聴くことが難しくなっている今、修学旅行での平和学習の在り方にも工夫が必要になってきています。こうした事例は、その一つの方向性を示しているのではないかと思います。
学生語り部による館内ガイド
舞鶴エリアでのSDGs学習プログラム
舞鶴引揚記念館からバスで20分ほど行った野原海水浴場には、「海の豊かさを守ろう」(SDGsの目標14)をテーマとする学習プログラムがあります。地元の漁師さんを講師とする海洋資源やマイクロプラスチックについてのレクチャー、民宿の女将さんたちの指導による干物づくり、浜辺でのマイクロプラスチックの収集、流れ着いたペットボトルの国・地域別仕分けといった体験活動を組み合わせたもので、これも京都修学旅行の新しいプログラムとしておすすめです。
マイクロプラスティックの収集
舞鶴エリアへは、京都縦貫自動車道を利用すると100分ほどで京都市内から行くことができます。混雑する市内を通らず、高速道路も渋滞することはないので、計画通りの行程で実施したい修学旅行にとっては適地といえる訪問先ではないでしょうか。
オーバーツーリズムが話題の京都ですが、京都市内でも混雑とは無縁のしっかり学ぶことのできるスポットがあります。また、「海の京都」をはじめ「森の京都」や「お茶の京都」など「もうひとつの京都」として京都府が推しているエリアにも魅力的な「学び」の資源があります。
修学旅行は転機を迎えていると言われる今だからこそ、京都修学旅行も「前例踏襲」の在り方を考え直してみる必要があるのではないでしょうか。
如何だったでしょうか?
神社仏閣も大事ですが、海外との繋がりや関りをリアルに実感できることこそ学びではないでしょうか?
そして今、修学旅行にとどまらず、観光業自体の有り方(戦略・方針)についても変革が求められていることと痛感します。
インバウンドの興味がどんどんと変化し、オーバーツーリズムが問題化して来ている昨今、それに対応して柔軟な対策が求められますね!
民泊事業に携わる、民泊運営代行業者として今何が出来るのか?また、今後どうしていくべきか?
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